2003年11/15(SAT)加斗

 イカ。イカが釣りたくてたまらない。これは恋だ。恋をしていると言っても過言ではないだろう。いや、それは過言だ。2週間前、僕は愛するイカに会うことができた。でもそれは僕の力ではなく釣友の手によって釣り上げられたものであり、僕の釣果とはなり得なかった。
 僕はこの2週間イカのことばかり考えていた。イカについてこんなに思いを巡らせている人間がこの世界でどれだけいるかを考えるほど無駄なことはないが、少なくとも僕が未だかつてこれほどイカについて思いを馳せたことはないことは確かである。そして2週間が過ぎた。


今年何回目かなあ いつもの場所

サビキのアジに食いつくアコウ


上より小さく見えますが大きいです

恒例のうなだれショット

 そして11月15日早朝、僕は2週間前と同じ福井県小浜市加斗に天使のように舞い降りた。さしずめ僕は翼の折れたエンジェルであり、そして僕の傷ついた翼を癒すことができるのは、年老いた中村あゆみではなく軟体動物門頭足類二鰓類だけなのである。暗いうちから船を出し、いつもの場所へとネブカデネザル号(仮名)をゆっくりと漕ぎ出す。波は少しあるが風はなし。まずまずである。そして夜明け前に僕の静かな闘いの幕が上がった。
 では2週間の熟考の末に考え出した仕掛けを説明しよう。糸にエサのアジを掛ける用の針を通し、一番下にはイカを引っ掛け用の針を結ぶ。アジ掛け用の針を固定するためのウキ止め(この場合針止め)を上下2カ所につける。僕の緻密なシミュレーションによればイカがアジを食ってアタリが出れば竿を思いっきりあおるとウキ止め(針止め)が動いて下の針がイカに掛かる寸法である。
 この仕掛けはスティック型と違い仕掛けが軽い。そのためアジの負担が少なく、自由に動ける。(スティック型は沈むため、ウキをつけるので一定のタナしか探れない、アジの動きも制限される)また一般的なスティック仕掛けのアジを掛ける針は「アジが外れないこと」に特化され、魚は掛からない仕組みになっている。この仕掛けは普通の針を使うため、対象はイカに限定されない。デメリットとしては仕掛けの性質上、針が掛かるのは足になるため、ばれる確率が高い。しかしヤエンを投入するのも可能であるので逆に考えるとヤエン仕掛けよりも取り込める確率は高い。以上。
 エサの小アジを調達し、早速仕掛けを放り込む。後は待つだけだ。一方でエギを準備。6.6フィートライトアクションのバスロッドにPE(ラパラチタニウムブレード0.6号)を巻いたスピニングリールにアオリーQバレンシア2号をセットし、キャスティング。底まで落としてしゃくってまた落としてしゃくって、をひたすら繰り返す。
 そして僕は気づく。・・・今日ってもしかして釣れない?投げても投げてもアタリなし。ファンタスティックイカ仕掛け(仮名)のほうには一度アタリがあったが上げるのが早すぎたか仕掛けに問題があるのかアジはかじられずちょっと皮がむけているだけの状態であがってきただけ。
 やがてちっとも釣れない状況に業を煮やし蒼島方面へ場所を移動しようとしたその時、緊急事態発生!パトカーは直ちに現場に急行する!アンカーが岩に掛かって抜けないことが判明。風と波は次第に強くなり、アンカーなしではとても釣りは出来ない状態である。やむを得ず、今日は終わりまで同じ場所で釣りをし、最後にアンカーロープを切ることとする。しかし釣友はこのような状況の上に、買ったばかりの2つ根掛かりさせたエギとともになくなったやる気を充電すべく入眠。僕はもくもくとエギを投げる。釣れないと分かっていながら。
 数十分後、釣友のアジ仕掛けにアタリがあったため起こす。(ちなみにフグ)起きた釣友はしかたなく土産確保用に小アジを釣り始める。サビキに釣れた小アジに20cm弱のアコウが食いつき2匹ゲット。続いて僕も小アジ仕掛け(ちなみに僕考案の適当仕掛けは根掛かりで切れてめんどくさくなって通常のヤエン用仕掛けに変更している)に手応えが。藻が引っかかったような手応えは上げてみると25cm良型アコウ。とりあえずほっとはと胸をなで下ろす。
 そして昼前、強くなってきた波風に僕たちは小アジやベラやスズメダイやフグ以外の魚(軟骨動物含む)を釣り上げることなく多分今年最後のゴムボートフィッシングの幕を下ろすことになるのであった。
 近くで釣りをしていたおじさんは27cmのキスを釣っており、さらにそのおじさんの話によると
早朝蒼島で尺アジ(おじさんの広げた手「これくらいの」を概算)が釣れていたとのこと。
場所と対象魚を間違えたか?

アコウ×3匹 小アジ無数

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